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口臭治療をしていてのエピソード

[2015.05.14]

もう数年前に来院された患者さんの話です。
口臭って悩むとここまでになるんだと思った症例です。

よくこんなことまで話してくれたと感心もしました。

その方は、どの位口臭に悩んでいたかというと、
「わたしは陣痛が全く痛みを感じなかった」と言うんです。

特に、聞き出そうとしたわけでもなかったのですが、
そういう話を始めました。

陣痛のことはよくわからないのです。
そして、この話が口臭とどう結びつくのかも想像できませんでした。

出産前って独特の呼吸をするじゃないですか?
出産の経験のある女性ならわかると思うのです。

「ふー、はっー、はっー」みたくやるんでしょ?

その口臭患者さんは陣痛の痛みより、
出産に立ち会ってくれた産婦人科医や看護婦さんに対して、
自分の口臭で迷惑をかけている、申し訳ない
という気持ちのほうが強くて、
陣痛は気にならなかったというのです。

その方は、主婦ですから、スーパーにも
買い物に行くんです。

でも、遠くに知り合いがいたりすると
立ち話をするのが嫌なんですね。

会話すると、相手に口臭をかけてしまい
申し訳ない、となるのです。

ですから、知り合いを避けるような行動をしてしまうのです。

わたしと口臭に関する問診をしても
私の方を向いてはくれません。

「いいんですよ、気にしなくて、遠慮なく
息をかけていいんですよ。商売ですから」
と声をかけながら、気持ちをリラックスさせたつもりです。

重症な例です。

口臭があるから、木馬歯科へ行こうという患者さんはいません。
まずは自分で解決しようとして
ネットで「口臭対策」みたいなキーワードで
検索すればたくさんの対策法が出ます。

色々やってみるんです。
でも、解決しなくて、口臭外来に来院するんです。

患者さんは嘘は言いません。
真剣なんです。
ですから、わたしも最高の力を発揮しようとします。

1ヶ月後には険しかった顔が優しい顔に変わりました。
よかったです。

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