ひどい息切れやせきが続く慢性閉塞性肺疾患(COPD)による死亡者が増えている。厚生労働省の人口動態統計によれば、2011年は1万6639人で、日本人の死亡原因の9位になった。10年前よりも約30%増えている。

この傾向は海外でも同じだ。世界保健機関(WHO)によると、COPDが原因の死者は05年の段階で世界で300万人以上おり、全死亡者の5%に相当するという。30年にはこれが8.6%になり、世界の死亡原因の第3位になると予想されている。

COPDは肺気腫や慢性気管支炎といった病気の総称。有害な化学物質を長期間吸い続けることで起こると考えられており、主な原因はたばこである。

厚生省は13年度からスタートする「健康日本21」の第2次計画で、発症と重症化の予防に取り組む「非感染性疾患(主に生活習慣病)」に、がんや循環器疾患、糖尿病とともにCOPDを加えた。その中で、喫煙率を22年に12%まで減らす目標を掲げている。COPDの原因の90%がたばこの煙とされ、喫煙者の20%が発症するという。

日本たばこ産業によると、12年度の成人男性の喫煙率は32.7%だった。ピーク時の1966年の83.7%と比べればずいぶん減った。「しかし、まだ安心はできない」と、結核予防会複十字病院(東京都清瀬市)の工藤翔二院長は言う。「COPDはたばこを吸い始めてから長い期間、おそらく20~30年たたないと発症しない。現在のCOPD患者は20~30年前にたばこを吸っていた人だと憶測される」と説明する。

COPDによる死者数が増え続けているにもかかわらず、さほど重視されていない理由に1つに、国民の認知率の低さがあげられる。ちなみに、今年は11月14日が「世界COPDデー」だったが、COPDと聞いてピンとくる人は少ないだろう。

11年12月の段階で、COPDを知っている人の割合は約25%だった。健康日本21の第2次計画では、80%以上にすることを目指している。メタボリックシンドロームも最初は「何それ?」だったが、数年もたたずに92.7%の人が認知するまでになった。関係者の努力次第では、この数値は絵空事ではなくなるかもしれない。
(江戸川大学特任教授 中村雅美)

日経新聞より